私は子どもが2人いますが、子育てをしていると、自分がどういう環境で育ち、どういう価値観をもって生きてきたかが浮き彫りになるなと思うことがあります。
子どもに対して抱く感情(特にマイナスの感情)を感じると、「あ、私がこういうふうに感じているのは、こういう心のクセがあるからだな」と気づくことがあります。子どもの行動・言動が「事実」としてあった上で、それをどう捉えるかという「認知」は、自分の過去の体験や、そこから培った心のクセに大きく影響されます。心理学的には「投影」と呼ばれる現象に近いものです。
たとえば、子どもが「もっと遊びたい」「これがほしい」と癇癪を起こして泣き叫び、強く主張するとき。小さい頃に親が問題を抱えていて「いい子」でいなければならず、感情を抑え込むクセを持って育った人は、その姿に強いイライラや不安感など、心のざわつきを覚えることがあります。
親に迷惑をかけないように、失望させないように、自分を押し殺して「完璧な子ども」でいようとしていた過去。その記憶があると、わがままをぶつけてくる子どもを前にしたとき、嫌悪感が湧いたり「母親として失格なのでは」と自己否定に陥ったりすることも。
自己否定や罪悪感を抱きやすいクセがある人は、子どもが泣き続けると「自分が悪い」「母としての私に問題がある」と考えてしまいやすいのかもしれません。
さらに、「毒親に育てられた」という自覚がある方は、「自分も同じように毒親になってしまうのでは」と強い不安を感じることも少なくありません。
子育ては、子どもを育てる営みであると同時に、自分自身の心の歴史と向き合う場でもあります。マイナス感情は「ダメな自分」を示すものではなく、「自己理解への入り口」と捉えることができます。その意味で、子育ては過去を癒し、生き方を再構築するチャンスでもあるのです。
感情が大きく動いたときに「これは子どもの問題ではなく、私の過去から来ているのかもしれない」と一呼吸おく。それだけでも、子どもとの関わり方が少し変わるかもしれません。
母親として「ダメなんじゃないか」と自分を責めすぎないでいただきたいのです。心のクセがまったく働かない人など存在しません。誰もがそれぞれの生い立ちや経験からくる心のクセを抱えながら、手探りで子育てをしているのです。
このブログを読んでくださっているあなたは、すでに「自分と向き合おう」とされている方だと思います。それは、現状を少しでもよくしたい、子どもによりよい関わりをしたいと願っている証拠です。私は、その姿勢そのものが、すでにお子さんにとっての安心になると信じています。
子育てを通して、自分の心と向き合うことは決して簡単ではありません。でも、生涯続く「人としての成長のプロセス」なのだと思います。どうかご自身を責めるのではなく、「子どもと一緒に育っているんだ」と受けとめていただけたら嬉しいです。
今回の記事は、自分にも言い聞かせています。一緒に進んでいきましょう!