生きていると、どうしても変えられないものがありますよね。

人に言われて傷ついた一言、
仕事で失敗したこと、
恥ずかしい思いをした経験、
恋愛での苦い思い出…。

あの出来事がなかったら、
あのときあの選択をしなければ、
もっと恵まれていたら——。

「過去は変えられない」
その確固たる事実が、心に重くのしかかってきます。

過去は変えられないのだから、受け入れるしかない。
過去の自分がそうしたのだから仕方ない。
未来をよくしていくために自分がこれから頑張るしかない——。

それは分かっている。
できるものならそうしたい。
でも、気持ちの整理ができない。
どうしても前向きになれない。

湧き出てくる人間の感情というものは、コントロールできません。
仕方のないことです。

私がお伝えしたいのは、決して過去を受け入れなくていい。
そう思うのです。

悔しい思いを抱えたまま、その悔しい思いをただ受け止めて、
そのまま、ただ自分の中に置いておく。

無理に忘れようとしなくていい。

無理に整理しなくていい。

意味を見出さなくてもいい。
無理にポジティブに変換しなくていい。

「あんなことがあったな」「今もまだ痛いな」
そう感じるだけで十分なんです。

“受け入れる”という言葉には、「納得する」「許す」「前に進む」といった力強さが含まれています。
でも、“受け止める”はもっと静かな行為。

ただ「それがあった」という事実を、自分の中にそっと置いてあげること。

そして——

最初にお伝えしたいのですが——
希望が見えた時にしか、過去は本当には癒されません。
幸せになった時にしか、過去や人を心から許すことはできません。

ただ、それまでが辛いんです。

光が見えない時、人は「もう変わらないもの」に囚われ続けてしまう。
自分を責めたり、あの人を責めたり、どうしようもない感情の中でもがきます。

でも、抵抗すると、心のエネルギーが消耗してしまいます。
自分を客観的に見られなくなってしまう。

抵抗するというよりは、じっと見つめる。
受け止める。

「抵抗」もせず、「受け入れよう」と無理をしようともせず、
「受け止める」。

その痛みを抱えたままでも、生きていける。

そのためには、目の前のこと、今日一日のことをひとつひとつ頑張る。
どう生きるか、高い理想は一旦横に置いておく。

こつこつと。

そうして日々を積み重ねるうちに、ふと気づいた時——
あの痛みが少しやわらいでいる。
あの出来事が、自分を強くしてくれたように思える。

うまくいかないことがあったとき、また再燃するかもしれない。

でも、もう自分は、この乗り越え方を知っている。

繰り返しますが——
希望が見えた時にしか、過去は本当には癒されません。
幸せになった時にしか、過去や人を心から許すことはできません。

だから、希望を捨てないで。幸せになってください。

あなたなら、できる。

まずは日々を、コツコツと。

あなただけは、あなたを見捨てないで。