カウンセリングでお話をお伺いしていく中で、「この方はご自分の気持ちが分かっているな」と感じる方と、そうでない方がいらっしゃるように思います。
もちろん、自分の気持ちが無いわけはないので、ご自身で自分の気持ちを感じられているかどうか、というお話です。
また、「自分の気持ちが分からないんです」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
ご自分の気持ちが分からないという状況の場合、いろいろなケースが考えられると思います。
自分の気持ちが分からないときに考えられるケース
(1)メリットデメリットを慎重に考えなくてはならない場合
たとえば、小さい子どもがいるので、経済的に苦しくなるためかんたんに離婚できない、というように、自分の気持ちよりも、優先して守らなくてはならない大切なものがある場合、メリットデメリットを慎重に精査するため、自分の気持ちは二の次になっていることも多いです。
ただ、この場合、子どもにとっては、大切なお母さんやお父さんが自分のために我慢しているということこそ辛いんですけどね。親が自分の幸せを優先させていいと申し上げるのはこの観点からです。
(2)幼少期から、自分の気持ちを押し殺す癖がついている場合
たとえば、親がいつも感情的だったので、自分は荒波を立てないようにいつも自分の気持ちを押し殺していたというケース。あるいは、親が子どもに対してとても厳しく、親に逆らうことが許されないといったケース。親が過干渉で、子どもの感情表現や意思決定能力を奪っているケース。親が病気や介護など大変な状況を抱えており、子どもが遠慮しているケースなど・・・
いわゆる機能不全家族で育ったが故に、「自分の気持ちを素直に感じて、表現できる」環境になく、無意識で自分の気持ちを押し殺す癖がついている場合も、大人になってから「自分の気持ちが分からない」状況になってしまっていることが多いように思います。
自分の気持ちを感じるには?
決して、自分の気持ちが無いわけではないんです。
自分の気持ちはちゃんと感じているけれど、細やかにキャッチアップできていないだけなんですね。
他人の気持ちを優先させすぎて、自分の気持ちが分からない状態になっているだけなんです。
我慢したり、他人の顔色をうかがうこと、いい子でいないと愛されないという感覚が刷り込まれてしまっているのかもしれません。
なので、まずは自分の心の動きに意識的になってみることがおすすめです。
私は「違和感を感じること」をスルーしないでほしい。とよくお伝えしています。
・モヤモヤする
・嫌な感じがした
・ちょっと傷ついた感じがした
・自分は違うと思う
そんなふうに、自分が感じたことを、スルーしない、無視しないこと。
「このくらいで傷つくことないよね」「みんな我慢しているよね」「心が狭いのかな」「自分って性格悪いのかな」「もういいや、どうせ」といった、自分の気持ちをないがしろにして、なきものにしないこと。
最初は、不器用でもいいんです。
だんだんと、自分の気持ちを自分で尊重してあげられるようになりますよ。
どんなに感情もいい悪いはありません。
問題になるのは、感情の人への伝え方であって、あなた自身がどんな感情を感じたっていいんですよ。
繰り返しますが、最初は不器用でもいいんです。
怒りを感じられるようになって、人に対して怒りをぶつけられるようになった。そんな方に私は「おめでとうございます」と言います。
私は怒っている。私はそんなふうに扱われると悲しい。そんなふうに伝えられるということは、ご自身を大切にできている証拠ですから。
自分の気持ちに正直でいることは、人生の満足度の高さにつながる
もちろん、人生には、メリットデメリットで判断しないといけない局面もあるでしょう。ですが、基本的には、自分の気持ちに正直に選択を重ねていくことが、人生の満足度の高さにつながっていくように思います。
自分の気持ちに正直に選択したことなら、たまには誰かを羨ましく思うことがあったとしても、ときには失敗したと感じる時があったとしても、自分の意思と行動力で正解に変えてくことができます。自分の人生を自分で選択し、その選択に責任を負えている状態というのは、山あり谷ありだったとしても、「めいっぱい生きた」ことになるのではないか、そんなふうに思っています。
「自分の気持ちが分からない」とお感じの方には、一度きりの人生を「めいっぱい生きる」ために、「自分の気持ちにちゃんと気づいてあげる」ことにトライしていただけたらなと思います。
かげながら応援しています。